高断熱住宅はビニルハウス?
高断熱住宅に使われる部材として、気密防湿シートがあります。
このシートの施工が終わったところを見ると、躯体の木材がビニルで覆われ、 いかにもビニルで木を閉じ込めたように見えます。
あるFCの方も、このような家を「窒息住宅」と呼び、批判しています。
なんだか問題がたくさんありそうな部分のようですが、ホントのところはどうなっているのでしょうか。
考えてみましょう。
まず、なぜこのシートを貼るのでしょうか?
ひとつは、建物の気密を確保するためです。
では、どうして気密を確保しなければならないのでしょうか。
答えは、きちんと計画換気をしたいから、です。
換気の計画は、居室から取り入れた新鮮な空気を臭いが発生する ダーティーゾーンで吸い込む、という考え方で行われます。
この考え方だと、空気の通り道がはっきりしますよね。空気がどう動いているかが分かります。
換気経路を明確にするために、余分な隙間をなくすことが住宅を高気密にする理由なのです。
例えば、ストローでジュースを飲みたい時に、 ストローの途中に穴が開いていたらうまく飲めませんよね。
換気も、入ってきてもらいたい個所以外から空気が流入してしまうと、 うまく換気出来ない、ということになるのです。
そして、高気密にするための部材が気密防湿シートです。
ここで、気密化のことだけを考えるのであれば、躯体外部に構造用合板を貼るなどの 「合板気密工法(新住協)」や、外張断熱でも可能です。
では、なぜわざわざ気密防湿シートを施工するのでしょうか。
もうひとつの理由。室内の水蒸気が壁の中に入らないようにする「防湿」シートとしての 役割があるからです。
どちらかというと、防湿の役割の方が重要だと思います(外部耐力壁として面材を施工し、 気密を確保した場合)。
壁の中に室内の余分な水蒸気を入れたくないのです。
北海道の住宅が、防湿されていなかったことで壁内結露を起こし、躯体から間柱まで 腐ってしまったのは有名な話です。
よく、断熱材に調湿機能を持たせて「呼吸する壁」などという人がいますが、 本当でしょうか。
断熱材が濡れると性能は低下するし、壁内の湿度が上がり木材にも影響を 及ぼすのではないでしょうか。
また、呼吸といっても、水分をため込むのには限界があるし、その限界以下で放出する 保証はありません。
もっとシンプルに考えた方がすっきりしませんか?
調湿性能を持たせたいなら、室内仕上材で工夫したらどうでしょうか。
私は、見えない壁の中に調湿という機能を持たせる不安より、いつも乾燥しているという 安心感を優先します。
さて、話を本題に戻します。このような考え方で施工された家は沢山ありますが、 人も、木も、窒息していません。
さらに、新住協ではこのように施工した10年前の住宅の壁を外から切り取り、状況を チェックするという大胆な検証をしましたが、全く問題ありませんでした。
このように、シートを張るのにはメリットがあります。
ビニルを使っていますから、 ビニルハウスという言い方も間違いではないと思いますが、だからといってなにか 問題があるわけでもなく、逆にシートが施工されているということに安心感を持って いただいて結構です。

