最近の話題から (Vol.9)
無暖房住宅について
お久しぶりですみません。 今回は無暖房住宅の話です。
今年の冬は各地で記録的な大雪となり、気温もとても寒かったですね。 そして灯油の大幅値上げ!です。 タンクローリーで灯油を配達してもらっていた方も、 ホームセンターで灯油を購入し自分でオイルタンクに移し替えた、 という経験をされたのではないでしょうか。 我々も暖房設計の際、熱源を見直す必要があるか、動向を注意して見守る必要があるようです。
さて、去る2月某日に無暖房実験住宅を見学してきました。 これは、信州大学工学部の敷地内に山下教授とその意義に賛同する会社が費用を負担して、 研究を進めているものです。
断熱材は、壁が高性能グラスウール500mm厚、 天井がグラスウール700mmブローイング、床はグラスウール400mmで構成されています。 実験棟の広さは8畳で、ここにテレビ・冷蔵庫・電球付きの人体模型・照明が設置されており、 それらをタイマーで制御して生活発生熱とし、室内外気温の計測や体験宿泊などの 実験をしています。
今回の見学時は、2名ずつで室内に入ったのですが、 10分間部屋に滞在すると人体発生熱で室温が1℃上昇するとの案内を受けました。 確かに暖かかったのですが、夏のことを考えると難しいことがありそうだと感じました。 施工コストも割高になるような気がしますし、 イニシャルコストをランニングコストで回収出来るのかという疑問もあります。
しかし、実験棟を実際に造り体感出来る環境を造ってくれた、 ということは非常に有難く素晴らしいことだと思いますし、 今後につながっていくという希望を持つことが出来ます。
ただ、ここで注意しなければならないのは、「無暖房住宅」という言葉が先に歩き、 研究が不十分なまま商品化され、市場に出回ってしまうことです。 最近のエネルギー価格の上昇傾向から人々は「無暖房」とか「ゼロエネルギー」 というキーワードに興味を持ち始めていますが、 それらの研究熱心なユーザーに不具合のありそうな住宅を提供してはいけません。 まだ研究は始まったばかりなので、 焦らず、快適な住宅設計が出来るルールを確立すべきだと思います。
大事なのは、住宅を造って維持していくなかでのトータルのコストや、 環境へのトータルの負荷なのです。 いずれにしろ、この夏の実験結果が非常に興味深いので、 暑い時期に実験棟を見学したいと思います。

